瀬戸内・千町平野から届く
命を支える作物

生産者紹介
宇津木ファーム×名刀味噌本舗

2026-01-17

広大な瀬戸内市邑久町の千町平野で、大豆、米・麦などの栽培を大規模に行なっている宇津木ファーム。名刀味噌本舗が製造する定番味噌やあま酒、ひしお、乾燥麦こうじに至るまで、商品づくりに欠かせない原材料の多くを担ってくれている、無くてはならない存在です。

命を支える作物を
途切れることなく届け続ける

岡山県瀬戸内市邑久町にある宇津木ファーム。
吉井川と千町川に挟まれ、瀬戸内海に近い穏やかで広がりのあるこの地域は、古くから「千町平野」と呼ばれてきました。低い山並みが緩やかに続き、開けた田園風景がどこまでも広がる、自然豊かな土地です。

宇津木ファームが栽培している主な作物の面積は、米40ha、大豆6ha、大麦20haを中心に、キャベツやレタスなど多様な作物を栽培しています。
現在、代表を務める 宇津木康文さんは4代目。先祖代々守りつないできた土壌を大切にしながら、さまざまな作物を安定して育てるため、日々工夫と挑戦を続けています。

代々受け継いできた
土壌の力をいかして

大豆の仕入れ先として宇津木ファームの名前は知っていたものの、当時、宇津木さんとの直接の接点はありませんでした。しかし大豆のおいしさは社内でも評判。偶然、名刀味噌本舗に入社した社員の松尾文章さんが宇津木さんと知り合いだったことで、直接出会う機会が生まれました。
もともと大豆の品質を信頼していたことに加え、栽培にかける丁寧な仕事ぶりに心を動かされ、本格的な繋がりが始まります。

宇津木ファームの大豆は、まず甘みの強さに驚かされます。
栽培している「サチユタカ」は本来、甘みよりも豆腐づくりの際の歩留まりの良さで知られる品種です。それにもかかわらず、より甘みが強いとされる他品種と比べても格段においしい。
その理由について尋ねてみると、この地の土壌が持つエネルギーとのこと。
米・大豆・麦を輪作(りんさく)することで有機物がゆっくり蓄積され、土の力が年々高まっていく。長い年月をかけて育まれたこの土こそが、宇津木ファームの作物すべてのおいしさを支える大きな理由だといいます。

※同じ畑で毎年同じ作物を作らず、作付けする作物を順番に変えていく栽培方法

偶然と心意気が生んだ
新たな展開

大豆に続き、宇津木ファームがすでに栽培していた大麦にも着目しました。宇津木ファームでは種用とビール用として大麦を育てていましたが、味噌づくりの要となる麦麹をつくるための精麦(せいばく)は行っていませんでした。

名刀味噌が精麦の協力を提案すると、宇津木さんは「おもしろそうだから、ぜひやってみたい」と快諾。すぐに京都の精麦機メーカーを訪れ、具体的な取り組みが始まりました。
普通の農家さんならやりたがらないような面倒な作業も「興味をもったものはとりあえずやってみる」という宇津木さんの好奇心と心意気が、双方の新たな展開につながったのです。

現在、名刀味噌の麦味噌はすべて宇津木ファームの麦を使用。ひしおや合わせ味噌、乾燥麦こうじの原料に至るまで、幅広い商品づくりを支える存在となっています。また、米価が大きく上がった時期をきっかけに、味噌やあま酒の主原料となる米も宇津木ファームから分けてもらうようになりました。それまでは米問屋から仕入れていましたが、同じ瀬戸内市で育った米を使いたいという想いもあり、自然な流れで依頼へとつながりました。

※大麦の皮をむく工程

仕事の結果が見える喜び

宇津木ファームの農法は、地域の環境に合わせて最適な方法を選ぶ慣行栽培。食の安全性を守りながら作物を安定して届けるための、日本の主食作物を支える責任ある農法です。

宇津木さんが大切にしているのは「作物は食べ物として、人が生きていくための糧である」という根本的な視点。米・麦・大豆のような主食となる作物は、安定して必要量を確保できることが何より重要であり、その役割を支えるのが自分たちの農地だと捉えています。
農法にはさまざまな選択肢があり、無農薬や有機栽培もその一つです。しかし、十分な量を供給できなければ、人々の命を支えることはできません。
「食べることが成り立ってこそ、農のあり方を選べる」宇津木さんは地域の食を支えるために、求められる分をきちんと届けられるよう、無理のない形で生産を続けています。

米、麦、大豆、大切な原料の多くを、宇津木ファームが担ってくれている現在、名刀味噌本舗との仕事について宇津木さんに聞くと、こんな言葉が返ってきました。
「僕が育てた米や麦や大豆が、名刀味噌さんの手で味噌になり、お客さんのところに届く。それを想像するだけで嬉しいんです。一般の流通だと、どこへ行き何になるのかもわからないし、混ざってしまう。でも名刀味噌さんなら、作物がどう形を変え、誰の元に届くかがちゃんとわかる。それが僕らにとって大きいんです」

宇津木さんの誠実な人柄や、共につくり上げていこうとする姿勢を信頼し、互いに高め合う関係だからこそ歩んでこられた道です。

次のかたち
次の世代の挑戦を見守る

宇津木ファームには、次世代を担う若い力も育っています。
2020年前に就職した宇津木さんの息子・清十郎さんと、その友人であり幼稚園から高校まで共に過ごしてきた幼なじみの大原真也さん。まるで兄弟のように育ってきた二人です。

清十郎さんは当初、農業を継ぐつもりはありませんでしたが、大原さんの就職をきっかけに考えを変えます。自分たちの世代だからこそできる広げ方や販路づくり、挑戦の余地があると感じ、宇津木ファームに加わりました。

この土地で続けてきた農業を守りながら、次の形にしていきたい。二人が真剣に農業と向き合う姿は、周囲の同世代にとっても大きな励みとなり、地域の農を支える新たな力が芽生えるきっかけになるかもしれません。長年積み重ねられてきた土の力と受け継がれる意志、そして新しい世代の挑戦が、この土地の未来をさらに確かなものにしていきます。

株式会社 宇津木ファーム
岡山県瀬戸内市邑久町尾張1419-2

宇津木ファームの素材を使った商品のご紹介