一通のメールから始まった
心を動かす出会い
生産者紹介
菜々っ子農園×名刀味噌本舗
2026-01-17
草花の力を活かす菜の花農法で朝日米を育てている岡山市東区升田にある「菜々っ子農園」。お米アレルギーの方でも「ここのお米は食べられた」という声をもらうこともあると言います。
名刀味噌本舗との出会いは1通のメール。現在、菜々っ子農園の朝日米は、「玄米麹味噌」の原材料となる朝日米の栽培農家のひとつとして、また名刀味噌本舗が2017年から手がける自家栽培大豆の味噌シリーズ(季節限定・限定醸造)の麹にも使用させていただいています。
受け継ぎ、育て
未来へつなぐ米づくり
岡山市東区升田にある菜々っ子農園(旧・赤木農園)。
赤木歳通さんが研究を重ね、約30年前に日本で初めて確立させた無農薬・有機肥料による「菜の花農法」を、今も変わらず続けています。
現在は赤木さんの娘さんの夫・横山孝太郎さんが、その意思を受け継ぎつつ、自分なりの工夫や新しい試みにも挑みながら、代表として農園を支えています。
栽培するのは、主に人工交配されていない岡山の在来種「朝日米」。脱粒しやすく倒伏もしやすいなど栽培の難しさから生産農家が減り、県内でも限られた農家だけが育てる希少な品種です。
草花の力で育てる
「菜の花農法」
赤木さんが最初に「菜の花」で始めたことから「菜の花農法」と呼ばれるこの農法。草花の力を活かして無農薬・有機肥料(鶏糞・天日塩・食用にがりなど)でお米を育てる、循環型の栽培方法です。
まず、冬に田んぼを整え、抗生剤を与えずに育てた鶏の良質な完熟堆肥(有機JAS対応品)を施した後、菜の花やヒナゲシ、アンジェリア、クリムゾンクローバー、レンゲなどの無消毒の種子を一面に蒔きます。
春になると、田んぼは花畑のように色づき、花が終わった草花を代掻きと田植えの時期に合わせて土にすき込みます。
腐熟した草花が生み出す有機酸と深水管理、そしてカブトエビなどの田んぼの生き物の働きが組み合わさることで、雑草の発芽が自然と抑えられ、稲が伸びのびと育つ環境が整います。こうして植えられた苗は、ひと月半もすると力強く育っていきます。
このような基本的な工程を行う一方で、「同じ作業を毎年同じように繰り返すことが、年々難しくなっている」と横山さんは言います。草花の腐熟は近年の暑さで分解が早まることもあり、例年通りのやり方が通用しなくなってきているためです。
また、草花だけで除草剤の代わりとなるわけではありません。すき込み・田植え・深水管理の緻密なタイミングがそろって初めて効果が生まれるため、一つひとつの工程に細やかな気配りが欠かせません。
毎年変わる気候などの自然と向き合い続ける農法だからこその、試行錯誤を続けています。
心が通いあった
一通のメール
横山さんが名刀味噌本舗に連絡をくれたのは、2015年頃のこと。
公務員を辞め、農園の運営に軸足を移す中で「義父が築いてきた農法の良さを、もっと消費者へ届けたい」という思いが強くなったことが、その背景にありました。
先代の赤木さんは、農業専門誌での長期連載をはじめ、生産者の間では全国的に名の知れた存在でした。その確かな評価を広く伝えていくために、横山さんは六次産業化の可能性に目を向け、その第一歩として、名刀味噌本舗にメールで相談を寄せてくれたのが始まりでした。
最初の相談内容は「菜々っ子農園のお米で味噌を作ってもらえないか」というもの。当時、名刀味噌ではOEM(納入先商標による受託製造)を行なっていなかったため、一度はお断りせざるを得ませんでした。
それでも、丁寧に綴られたメールには、横山さんが育てるお米への誇りと、未来を見据えた揺るぎない意志が込められており、その一言一句が心に深く残っていました。
後日、名刀味噌から「お米を麹にして使用するかたちなら協力できるかもしれない」と提案。農園を訪ね、田んぼを見せていただきながら直接お話を伺う中で、横山さんの栽培に対する姿勢に共感し、菜々っ子農園の朝日米を名刀味噌の麹用として使用する取り組みがスタートしました。
横山さんは、「お味噌をきっかけにうちのお米を知ってくださる方がいたり、逆にお米から名刀味噌さんを知ってくださる方もいるんです」と話します。
実際に、「気づかないうちに両方を使っていて驚いた」「つながっていたと知って嬉しかった」といった声も寄せられているようです。
生産者とつくり手が、それぞれの良いものをまっすぐに届けることで、手にとった人が思わぬところでその関係性に気づき、互いの魅力を知っていく。
偶然のようでいて、どこか必然にも思える広がり方が、この協働をより確かなものへと育ててくれています。
菜々っ子農園(旧赤木農園)
岡山県岡山市東区升田131